東京家庭裁判所 平成9年(家)6479号 審判 1999年10月15日
申述人 X1 外3名
被相続人 A
主文
1 被相続人Aの相続につき、申述人4名がなした限定承認の申述をいずれも受理する。
2 被相続人Aの相続財産の管理人として申述人X2を選任する。
理由
一 申述人4名は、いずれも当裁判所に対し、平成9年4月30日、主文1記載のとおりの申述をなし、かつ相続財産管理人の選任を求めた。
二 本件記録によれば、被相続人はニュージーランド国籍を有し、平成9年1月30日表記最後の住所地で死亡したこと、被相続人の財産としてはいずれも日本国内の不動産及び銀行債務であることが認められる。
三 ところで、本件は渉外事案であるところ、被相続人の最後の住所地が東京都大田区であるから、本件限定承認申述については我が国に裁判管轄があり、相続については法例26条により被相続人の本国法が準拠法となる。他方、被相続人が国籍を有するニュージーランド法によれば、相続に関しては、その抵触法上、分割主義を採用して遺産である不動産についてはその所在地の法律、その他の財産については被相続人の死亡当時の住所地の法律によるべきものとされているから、結局、反致により、我が国の法律が準拠法になると解される(法例32条本文)。
そこで、我が国の民法に従って検討するに、被相続人の相続人は妻である申述人X1、長男である申述人X2、長女である申述人X3及び次女である申述人X4であり、本件限定承認の申述は共同相続人全員によって法定の期間内に行われ、その要件に欠けるところはないから、これを受理するのが相当であり、相続財産の管理人としては長男のX2が適任と考えられるので、これを選任する。
(家事審判官 吉田健司)